満員電車

東京の満員電車はすごい。
朝のラッシュに巻き込まれながら出勤するとそれだけで疲れる。
毎日これに耐えているサラリーマンはスゴイなと思いつつも、まあ毎日なら慣れるかとも思う。
わたしも昔に比べると慣れた。

満員電車初心者の頃は、他人との距離や他人の行動が気になったものだ。
しかしそんなこと気にしたところで、満員電車じゃなくなるわけではない。
潔癖症のわたしは特に暑い夏は他人との肌と肌との触れ合いがとてつもなく嫌だし、寒い冬は温度差からの結露がとてつもなく気になる。
でも耐えるしかないのだ。

他人との密着度120%なので、正直痴漢をされても気付かない気がする。
若い頃は「もしかして?」と思うことも数回あったが、今では痴漢をされるような服も着なくなったし、「痴漢されたらどうしよう」などと考えることすらなくなった。
ただでさえ満員電車で疲れるのに、サラリーマンの皆さんは痴漢の冤罪被害に合わないように気を使いながら乗っているなんて…本当お疲れ様です。

先日、帰宅ラッシュの満員電車でサラリーマン同士がもめていた。
サラリーマンA「何ですか?」
サラリーマンB「さっきから押してるでしょ?痛いんだよ」
サラリーマンA「次の駅で降りて下さい」
サラリーマンB「何でよ」
こんなやりとりが真横で始まり、次の駅でサラリーマンBはサラリーマンAに押されながら降りてしまった。
駅のホームでこのもめもめはヒートアップしてサラリーマンBの「降ろすなんて、こいつは無礼者だ」と言う声が響き渡っていた。
わたしは電車に乗ったままだったので、その後2人がどうなったのかはわからない。

仕事で疲れているであろうサラリーマン同士が押した押されたでもめて、本来降りなくていい駅で降り、1時間に数本しかない特急を逃すなんて、なんだか悲しい気持ちになった。

わたしも過去に、強引に乗車しようとする女性を後ろからの勢いに負けて押したくもないのに押したことがある。
その時、女性がなぜか振り切った手がわたしの顔面に当たり、しかも女性は「なんで押すの?乗れないでしょ?」とわたしに怒鳴ってきた。
頭で考えるよりも先に言葉が出た。
「満員電車やねんからしゃーないやん。押したくて押してるわけちゃうわ。顔面殴っといて謝りもせんと、そんな文句あるんやったら、満員電車なんか乗らんと歩いたらええねん」

やってしまった。

わたしは感情的になると関西弁が増す。
声のボリュームも大きめだった。
すぐに冷静になり、周囲の視線に恥ずかしくなった。
降りる駅まであと6駅。
この恥ずかしい気持ちであと6駅、約15分過ごさないといけないのかと下を向いた。

だが次の瞬間、隣に立っていた50代くらいの男性が頷きながらわたしに拍手をしてくれたのだ。
怒鳴ってきた女性は、それから一切何も言わずに電車を降りるまでずっと外を見ていた。地下鉄だったから景色なんて見えないのに。

満員電車で迷惑そうな態度をする人にみんなが思うことは同じのようだ。
「満員電車やねんからしゃーないやん。嫌なら歩くかタクシー乗るか時間ずらすかしたらええねん。」

食事中に「美味しくないな、これ。味濃いし、喉乾く。これも全然美味しくない」と言っていたら「だったら食べなくていいよ」と思わないか?
そのまま完食したら「最後まで食べるなら文句言わなくていいよ」と思わないか?

全然うまい例えが見つからなかったし、そもそも別に例える必要はなかったようにも思うが…要するに満員電車でぷりぷりしている人は周りから「だったら乗らなくていいよ」「結局乗るならぷりぷりせずに乗ってよ」と思われているということ。

やたらドア付近に立ちたがり、今一歩中程まで詰めない人、自分のポジションは絶対ここなんだと周りに押されても頑なに動かない人、ギュウギュウで押されると振り向いて後ろの人を睨みつける人、ドア付近に立っていて降りる人が多いのに一旦降りてくれない人、カバンを前で抱えない人、満員電車に乗るのなら満員電車のマナーを守って乗るべきだと思う。

誰かテレビで言ってほしいな。
影響力のある売れっ子タレントが言ってくれないかな。

いや、まず売れっ子タレントさんは電車には乗らないだろう。
乗ったとしても満員電車にはなかなか遭遇しないだろう。

こういった満員電車あるあるは庶民にしか分からないのだ。

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Ton.Sakota